「あさが来た」にみるPRの原点
「ゲゲゲの女房」を見始めてからすっかり朝ドラウォッチャーと化しています。 放送開始からコンスタントに視聴率をとって話題の「あさが来た」も、いよいよクライマックスとなり、「あまロス」ならぬ「あさロス」なるワードも出てきそうな予感です。通勤時間の都合上、リアルタイムには見られないため、録画視聴をしている私のように視聴率にはカウントされていない録画族や、BS放送・再放送分をいれると他のドラマを抜いてダントツの人気ドラマといえそうです。故夏目雅子似の波留さんの存在に以前から注目していたアラフィフのオジサン達の中には、彼女の活躍に胸キュンしている方々も多いことでしょう。あ、それは私のことです。 さて、朝ドラが経済面で及ぼす影響力は絶大です。過去その知名度を活用し企業や舞台となる地元が積極的にメディアミクスを仕掛けて実績を残しています。しかしブームは一過性のものになってしまうことも多いなかで、前々回の「マッサン」はニッカの余市工場への見学者が14年、15年と倍増し、ウィスキーの人気含め今もその勢いを維持しています。これはドラマのクォリティと企業イメージや製品が一致したPR好事例といえるのではないでしょうか。 「あさが来た」のモデルとなった大同生命や日本女子大、ユニチカ等の記念館への入場者も例年を上回る勢い、登場人物ゆかりの地での企画展も上々だそうですね。ドラマ終了後はその効果をどう維持するのか、そこからが正念場となりそうですが、やはり「朝ドラPR効果」は今も変わらず強大です。 ところで「あさが来た」のなかで、こんなシーンがありました。 銀行設立にあたり、もっと知名度をあげようと新聞や雑誌等への広告掲載を議論しているところに、あさが執筆するコラム依頼を引き受けて掲載数を増やしてもらうこと、それがあさ自身ではなく、銀行の知名度を上げるのに一番、ただで宣伝してもらえるんだ、と説得するくだりです。こうして、あさは間違いなく時代のオピニオンリーダーとなっていき、彼女の一挙一動が注目され、ひいては企業の評価、認知度をあげて業績へと反映される、といったPRの原点のようなエピソードでした。 あさが原稿書きに費やす時間はもちろん「ただ」ではありません。そのための調査や読書、アイデアの整理、思考し執筆する時間、記事原稿のチェックや評価、そしてその反響への対応など、有形無形のコストがかかります。 私たちPR会社もそうした目に見えにくいところでお客様を支援し、目的を達成するために仕事をしていることを、こうしたドラマを通して感じていただけたら嬉しいことです。 残り少なくなってきた「あさが来た」、はたしてどんな感動を残してくれるでしょうか?楽しみです。 (ふ)