”気になる数字”ー映画興行収入8.5%増
米国で第89回のアカデミー賞ノミネートの発表がされた1月24日、日本では映画配給大手がつくる日本映画製作者連盟が2016年の映画概況を発表しました。発表によると、日本での2016年の映画興行収入は235億800万円。過去3年連続増で、前年比8.5%増、また、この調査を始めた2000年以降では過去最高を更新。アニメ映画「君の名は。」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「シン・ゴジラ」などのほか、アニメ作品を中心に邦画の好調が貢献したようです。 映画館への入場人員も前年比8.1%増の1億8018万人で、1億8000万人を超えたのは42年ぶりというのですから、晴れ晴れとしたニュースだと感じました。 注目の「ラ・ラ・ランド」は「タイタニック」を超える?! 今年(2016年度)のアカデミー賞で約20年前の「タイタニック」と並ぶ14の賞にノミネートされた「ラ・ラ・ランド」は、2年前・87回のアカデミー賞で助演男優賞などを受賞し、強烈なインパクトで映画好き・音楽好きを魅了した「セッション」のデイミアン・チャゼル監督・脚本のミュージカル・ドラマです。 主演のライアン・ゴズリングは、甘いロマンス(「君に読む物語」)、社会派ドラマ(「スーパーチューズデー」)、コメディ「ラブ・アゲイン」等)、あるいはバイオレンス(「ドライヴ」等)まで、自在に空気を創る実力派。アカデミー賞常連のカメレオン俳優は、ダニエル・デイ・ルイスやクリスチャン・ベイル等々、どちらかというと普段はポーカーフェースの人が多いと感じるなか、Rゴズリングは決してクールなイケメンではなく、なで肩とタレ目で人懐っこい笑顔がステキです。エマ・ストーンとの共演は私の知る限りでは3度目で、その不思議な息の合いぶりは兄妹のようなカラッとした雰囲気ですが、今回もとても楽しみです・・と、「気になる数字」から大分それました。 約20年前の「タイタニック」の時は、主演のレオナルド・ディカプリオがノミネートもされなかった、等々、いろいろ言われていました。この1997年は「恋愛小説家」、「グッド・ウィル・ハンティング」、「LAコンフィデンシャル」と、今だに皆が見ている名作揃いだったことが、振り返ってみるとよく分かります。 「数字」からそれたついでにもうひとつ。上映中の2015年のカナダ映画「天使にショパンの歌声を」が楽しいです。タイトルからくる清廉潔白なイメージだけでなく、厳格な修道院付属の寄宿学校を財政難から立ち直らせようと奮闘する修道女の姿を通して、女性の生き方、思春期の女学生の成長などを、音楽を交えて描写。主人公の修道女が、教会の理不尽な方針に立ち向かおうとして考えた策は、音楽教育を訴求するPR。修道院にマスコミを招いて、学生たちの腕前を披露します。 タイトルほどにはショパンの曲はでてきませんが、ピアノが得意な女学生を演じるライサンダー・メナードの演奏と非凡さを現す手に驚き、彼女のピアノと同級生の声のデュエットにうっとり、熱くなりました。 ところで、「君の名は」はご覧になりましたか? 普段は洋画一辺倒の私も、さすがに観に行きました。擦れている私には気恥ずかしさが拭えませんでしたが、映像がとてもキレイでした。20代の甥は3回観たというので、興行収入を牽引する魅力があったということですね。今年のエンタテインメント業界の行方はいかに!? 楽しみです(穂)