アニメと地域PR
群馬・山梨・福井・滋賀・和歌山・島根・山口・宮崎。 これら8つの県に共通することは何だと思いますか? 正解は「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2018年版)」にランクインがない県です。 ランクインがある39都道府県で、圧倒的にアニメ聖地が多いのは東京都の25か所。京都府8か所、埼玉県6か所と続いています。 山梨県は首都圏に隣接する観光県でありながらランクインがなかったのですが、先日、待望のアニメ聖地が生まれ、観光客が増加していることがニュースで報じられました。 そのアニメ聖地を生んだアニメとは、今年1月からOAされた「ゆるキャン△」。山梨県周辺を舞台にキャンプ場でのレクリエーションや、野外調理などといったアウトドア趣味の魅力と、それを身の丈に合った範囲で満喫する女子高校生たちのゆるやかな日常を描いた作品です。 舞台となった山梨県内の複数のキャンプ場では、閑散期の冬期間にもかかわらず去年の3倍もの利用客が訪れ、訪問客がSNSに投稿することで、さらに利用客が増加、といった好循環が生まれているようです。 公益社団法人「やまなし観光推進機構」のサイト内で「ゆるキャン△」情報を掲載したところ、累計で50万という異例のアクセスを記録。新たな観光資源として県内の観光業界は大きな刺激を受けている、とのことです。 アニメ聖地への巡礼といえば、今から10年前に「らき☆すた」の埼玉県鷺宮が脚光を浴びたのが始まりです。近年では映画が大ヒットした「君の名は」の飛騨高山や、記録的なロングラン上映となった「ガールズアンドパンツアー」の舞台である大洗などが有名です。大洗では、町全体が協力し合ってPRを展開した結果、単に観光客が増えただけではなく、ふるさと納税が激増するなど、地域経済全体への貢献が大きな話題になりました。 アニメをはじめとするサブカルチャーは、若い世代やインバウンドへの効果も期待できるため、数ある地域PRコンテンツのなかでも最も強力なもののひとつになっています。 とはいえ、地上波だけでも年間数百本ものアニメが制作・OAされているなか、人気を獲得してアニメ聖地まで発展するケースは、ほんの一握りなのも現実です。 そのチャンスを見逃さないでモノにするために重要なことは、日頃から情報感度を高めることは勿論、地域が共有して受け入れるための雰囲気づくりではないでしょうか。 広報では、外への情報発信の前に、インナーコミュニケーションを高めることが重要とされていますが、地域PRにおいても、コンテンツに関わらず、地域全体で情報を共有して、受け入れ態勢を作れるかどうかが、成功のカギを握っていると思います。 ところで、昨年PRイベントで函館を訪れる機会があったのですが、そのあとすぐに放送された「ラブライブ!サンシャイン!!2期」では、その函館が舞台に。 駅周辺、波止場、函館山、FMいるか・・・・見たそのままの風景が舞台になっていて、不思議な感覚でした。なかでも、滞在時に通った、現地で人気のハンバーガーショップ・ラッキーピエロのシーンが繰り返しでてきたのにはとても驚きました。 函館はすでに「薄桜鬼 真改」の聖地として、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2018年版)に入っていますが、これから「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地としても巡礼者が増え、町全体がさらに活性化するのではないでしょうか。 (さ)