SNS拡散リスクが止まらない
地元の方をはじめ多くの国民に衝撃を与えた首里城消失、あらためてお見舞い申し上げますとともに、一日も早い原因究明と復興に繋がることをお祈りします。
ところでこの火災が起きてまもなく、ネットで「犯人が撮影した」といわれる現場での火災映像が拡散しました。結果的には消防職員が記録として撮影したものがなんらかの理由で漏えいしてしまった、ということですが、その経緯等含めまだまだ不明な点が多く、リスクマネジメントの意味でも原因究明と対策は必要だと思います。(11月7日時点)
首里城火災「謎」の動画 撮っていたのは消防職員だった(沖縄タイムス)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191106-00494343-okinawat-oki
当社が加盟している船舶業界専門のグローバルリスクマネジメントサービスMTI Network(https://www.mtinetwork.com/)では、年間1,000件近い船舶事故を扱っています。その多くは環境や人命に影響のない軽事故がほとんどですが、タンカー火災や人身事故等といったメディアの注目を集める大事故も発生することがあります。
そのなかで年々問題となっているのは事故当事者によるSNSリスクの高まりです。
起きた事故の記録や報告という目的なのか、個人の興味の範囲かわかりませんが、事故対応にあたっている当事者の船員が、手持ちのスマートフォンでその様子を撮影、拡散するケースが増えています。
そうした動画や写真が不用意に流出することは、一般市民から事故の環境への懸念や風評の助長、事故に遭遇した船員の家族からの問い合わせ増など、事故対応そのものにも影響しかねない事態が発生することがあります。なかには内部告発のような形で映像や画像を悪用されるケースもあるようです。
こうした事態を防ぐには、事故現場での個人での撮影は禁止することや、撮影された画像の管理方法(外部に流出しない仕組み作り)は最低限必要なハード面での対応です。
一方で、日ごろからSNS拡散リスクについての情報共有や、社員教育、SNSポリシーの策定などソフト面でも対応していく必要があります。友達、家族だからといって安易に提供したり、SNS上で共有したりする先に何千、何万というフォロアーへ拡散するリスクがあることを、日ごろから意識しておかなくてはなりません。
当社でも海運業界向けのメディアトレーニングのなかで、そうした事例や対応についてのノウハウを提供しています。先月末はロンドンの本社が来日し、数社トレーニングを提供しました。(週末のラグビーワールドカップ決勝は惜しい結果となり少し落胆して帰国したかどうかは定かではありません。)
ご関心ある方はぜひお問合せください。
(F)